今回は、最近読んだ本「サイコロジー・オブ・マネー」についての書評を記事にしたいと思います。
投資に関する本はたくさんありますが、本書はファイナンスに関して本質的・普遍的な真理を学べる内容になっております。
- 投資に関して本質的なことを学びたい人
- 本書「サイコロジー・オブ・マネー」に興味がある人
- 長期的に投資を続けたい人
「サイコロジー・オブ・マネー」の概要
本書は、2020年に米国で刊行されるとたちまち大ヒット作になり、43ヵ国で翻訳、全世界累計70万部(本書訳者あとがき執筆時点)のベストセラー本です。
著者モーガン・ハウセルは、ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド」でパートナーを務める現役の金融プロフェショナルでありながら、ウォール・ストリートジャーナル紙等の大手媒体にファイナンス関連記事を投稿するコラムニストとしても活躍されております。
本書の概要は、お金やより良い人生を送るための普遍的な真理を説く内容になっています。
お金に対するアドバイスは人それぞれである前提で、人間心理に左右されるお金の問題に対する多くの有益な情報が本書に織り込まれています。
結論を言うと、
「エゴを減らして、時間を味方につけ長期に投資を続けて、得られたお金で時間をコントロールし、思い通りの人生を送りましょう」
という内容です。
記述した内容は特に目新しいことではなく良く目にする内容ですが、これを実践することの難しさ、それらの事柄にどう対応(主にマインド)すれば良いのかが学べる内容になっています。
「サイコロジー・オブ・マネー」を読もうと思った理由
僕自身、投資を実施し続けていますし、当ブログでも投資に関することを中心に発信しているため、常に投資に関する勉強を実施しています。
しかし、巷にある投資に関する本は、「米国株の〇〇ETFがおすすめ」、とか「日本株の高配当株で配当金生活」等といった投資手法に関する内容のものが多く(これはこれで非常に有益な内容ではありますが)、もっと「投資に関する本質的なことを学びたい」と思って本屋で該当する本を探していたところ、本書が目に入り、読んでみようと思ったのがきっかけです。
印象に残った内容3選
本書は以下の20章から構成されております。
- 第1章 おかしな人は誰もいない
- 第2章 運とリスク
- 第3章 決して満足できない人たち
- 第4章 複利の魔法
- 第5章 裕福になること、裕福であり続けること
- 第6章 テールイベントの絶大な力
- 第7章 自由
- 第8章 高級車に乗る人のパラドックス
- 第9章 本当の富は見えない
- 第10章 貯金の価値
- 第11章 合理的>数理的
- 第12章 サプライズ!
- 第13章 誤りの余地
- 第14章 あなたは変わる
- 第15章 この世に無料のものはない
- 第16章 市場のゲーム
- 第17章 悲観主義の誘惑
- 第18章 何でも信じてしまうとき
- 第19章 お金の真理
- 第20章 告白
その中から、新たな気づき、学び、印象等が大きかった内容を以下3つ抜粋します。
- お金で得られる最高の配当
- 複利で得られる例が新鮮
- 貯金の重要性
一つ一つ説明します。
1.お金で得られる最高の配当
みなさん、投資をしていますか?している場合は、何故投資していますか?
老後の資金のため?子供の養育費のため?億万長者になるため?
僕自身も配当金収入を上げて日々の生活を楽にしたいし、上手くいけばFIREできたらなーとか思っていました。
本書では、
- 幸せの共通の要素=思い通りの人生を送れること(幸福感:人生を自分でコントロールしている感覚があること)
- お金から得られる最高の配当は「時間」をコントロールできるようになること
- お金が人生にもたらす最大の価値は「自由」
であると述べられています。
また、現代人は豊かになったが、仕事は自分の頭脳が道具(意思決定が主な仕事)になったため、会社から出ても仕事が頭から離れず、自分の時間をコントロールできなくなっていて、幸せになれていないと。
この内容を読んで、僕自身非常にしっくりきました。
平日家に帰っても、土日でも、長期連休でも、仕事のことをまったく忘れたことはなく、常に頭の中に浮かんできます。その度にプレッシャーを感じています。
もしこのまま投資を続けてお金に余裕ができたり、配当金収入が増えた場合、仕事に関しても選択肢が増えます。病気になっても無理に続ける必要はなくなります。仕事が辛ければもっと余裕のある(給料は下がるかもしれないですが)仕事に転職することもできます。
本書を読んで僕が投資をする理由が明確になりました。
それは、『「自由」を得て、好きな時に、好きな人と、好きな事が出来るようになる』ためです。ここでいう自由は「自分で時間をコントロールできて、選択肢がある状態」であると考えています。
2.複利で得られる例が新鮮
複利については多くの投資本でその重要性が説かれていますので、既知の内容かと推察されます。
僕自身も本書を読む前までは、もちろん認知している事柄でした。
しかし、本書を読んで複利の凄さをより理解でき、また様々な事柄にも通用する概念であり、具体的にイメージしやすくなりました。
本書では、複利の例として氷河期を挙げています。
氷河期が起きる理由は、太陽と月の引力で地球の地軸が傾き夏がわずかに涼しくなったことで前年の冬の雪が残り、雪が積もりやすくなり、雪は太陽の日光を反射して気温が下がるといったことを繰り返すことで氷河期になった、と述べられています。
つまり、小さな変化が巨大な力を生み出すということです。
他にも、ウォーレンバフェットの資産の大半は60歳代半ば以降であることや、ハードディスクの容量が指数的に上がっている例、等が挙げられています。
これらの例を読むことにより、「複利の力の強大さ」を具体的にイメージしやすくなり、自分の投資しているお金が「今複利の力でどんどん増えていってるんだな」といったことを頭で考えるようになりました。これは長期に投資をし続けるためには非常に重要なことであると思います。
また、色々な例を読むことで、複利は何もお金だけの話でないなと認識しました。僕自身、語学の勉強でも少し喋れるようになると、実際にその言語を母国語としている方に話すようになることで、複利的に語学の習得が早くなったことから、色々なことに応用が効くなと思った次第です。
3.貯金の重要性
これは非常に面白い考え方だと思いました。
多くの投資に関する本では、現金よりも金融資産に投資をする方が良いとしており、よく生活費の3ヶ月分の現金を残して、残りは全部投資する方法等が紹介されております。
しかし、本書では貯金の重要性を説いています。それが目的の無い貯金であっても素晴らしいことだとしています。
本書では投資をする上で大事なことのひとつに「長期に投資をし続けて、複利の効果を得る」ことがあります。
しかし、今は投資を出来ていても、将来何が起こるか分かりません。
その不確実性によって投資をやめてしまうかもしれません。
そういった時に、失敗したとしてもまた挑戦できる余力を残しておく(本書では「誤りの余地」と定義)必要があります。
ここで選択肢と柔軟性をもたらしてくれるのが貯金です。
また、「貯蓄=収入―エゴ」であるため、エゴを減らせば貯蓄率は増えます。そういった意味では、自分でコントロールできる部分であります。
このように自分でコントロールできる貯金が誤りの余地として重要性をもって働くため、貯金が重要であると記述されています。
ここは本当に新しい視点でした。僕自身での経験でも、確かに貯金がありお金に余裕があった方が、投資にも積極的になれますし、いざ株が暴落した際に買いにいけます。
これからは現金保有率については、改めて考えた方がよいなと思いました。
本書を読んだ後の変化
本書では「エゴを減らして、時間を味方につけ長期に投資を続けて、得られたお金で時間をコントロールし、思い通りの人生を送りましょう」ということを実践するための真理を色々な場面で説明しています。
本書を読んだ後には、より長期で投資をし続けようと強く思うようになりました。
先述した3つの事柄以外にも「夜、安心して眠れることを優先してお金を管理」、「世界経済は今後長くに渡って成長を続けるといった楽観視をもつ」等長期で投資を続けるための考え方が述べられています。
今投資を続けていくことには不安が無いですが、「金融ショックや、自分の人生に何かあった時に果たして続けていけるだろうか?」といったことを改めて問うことができ、また今回学んだ心構えで続けていこうと強く決心することができました。
また、お金以外でも長期にわたって実施し続けることの重要性を認識できました。
語学であったり、人間関係、健康であったりも当てはまります。特に健康については意識していこうと考えるようになりました。
まとめ
今回は、【サイコロジー・オブ・マネー】の書評をしました。
概要は「エゴを減らして、時間を味方につけ長期に投資を続けて、得られたお金で時間をコントロールし、思い通りの人生を送りましょう」ということですが、それには複利の力を理解、目的のない貯金をして予測の出来ない出来事に備えるといったことが重要であります。
内容に興味がある人は是非読んでみることをおすすめします。
長期的に投資を実施できるマインドが得られると思います。